アイヌ民族情報センターについて

北海道と呼ばれているアイヌ・モシリ(人間の大地)は、アイヌ民族が自然と共に生きてきた土地です。
しかし、日本近代天皇制国家による侵略によってアイヌ民族は土地も森も川も、自由に狩猟することも、さらに文化や言葉も奪われ、多くのいのちも奪われながら苦難と抵抗の道を強制されてきました。
そのアイヌ・モシリに宣教活動を行なったキリスト教会はアイヌ民族に無関心であったり、アイヌ民族としてのアイデンティティを尊重せず明治政府の同化政策に協力したものとなりました。


わたしたち日本基督教団北海教区は、教会が侵略者・抑圧者の側に身をおいて歩んできた過去の歴史を反省し、1985年の二風谷ダム裁判の際に、アイヌ民族の権利回復の働きを共にする目的でアイヌ民族委員会を設け、ささやかながら連帯の取り組みを進めてきました。
さらに、この課題に日常的に取り組むために1996年に「アイヌ民族の権利回復と差別撤廃を教会が宣教課題として取り組むことを目的」(センター規約3条)としてアイヌ民族情報センターを開設しました。

先住権回復運動に連帯する

アイヌ民族の先住権、人権を回復するための支援を続けています。

二風谷ダム裁判(1997年実質勝訴)をはじめ、アイヌ民族の権利回復と差別撤廃のため、関連する裁判や運動を支援し、集会等に積極的に参加しています。

また、北海教区総会決議を経て「アイヌ民族の先住権に基づくアイヌ新法の制定を求める声明」や、諸裁判支援のための要望書・抗議などを官公庁・報道関係・各政党・各教区などに送付し、意見を表明しています。

さらに、2008年6月6日に日本政府は「アイヌ民族を先住民族とすることを求める」国会決議を行ない、法制度や施策について調査・提言する有識者懇談会を設置しました。それらに札幌周辺に住むアイヌ民族を含む草の根の市民グループに加わり、有識者懇談会に「提言」を送るなどの協力をしています。アイヌ民族の権利回復のために今後もアイヌ民族の皆さんと連帯して働いていきます。

世界の先住民族との交流に協力

世界の先住民族との連帯、および、世界の人々とアイヌ民族とのつながりに協力しています。

(1)世界の先住民族を迎えての研修・交流

台湾原住民族やカナダ、ノルウェー、フィリピンなどの先住民族を迎え、研修を企画・実施しています。また、アイヌ民族との交流を協力しています。

(2)国際会議への派遣、及び参加支援

オーストラリア、グアム、ジュネーブ、台湾、サハリンなど、各地で行なわれた先住民族会議にアイヌ民族の方を派遣し、交流する協力をしています。

(3)情報提供

世界先住民族国際会議(ノルウェー)の「カラショク宣言」翻訳や、「チキサニの大地」(宮島利光著)の英訳協力、その他書籍の販売、あるいは関連講演や報道・映像の収集を行なっています。

(4)先住民族間の交流

世界の先住民族間の交流の協力をします。 また、台湾基督長老教会よりお迎えした原住(ユェンツー)民族(ミンツー)出身のディヴァン・スクルマン宣教師と共に、民族間の交流活動をします。

学習・研修・交流活動に取り組む

北海道内外の教会、学校、その他諸団体や個人を迎え、アイヌ民族との出会いの場を提供しています。また、下記のような、学習会の実施や講師の派遣、情報発信も行っています。

フィールド・ワークの企画・ガイド

二風谷や旭川、札幌など道内各地でフィールド・ワークを実施しています。現場でアイヌモシリ侵略の歴史や、アイヌ民族の文化について学びます。また、先住民族としての権利獲得や差別の解消に向けて、何をすべきか考える時を持ちます。

交流活動

アイヌ民族との交流に努めています。また、日常的な支援活動を行っている団体とも交流し、相互支援や情報交換ができるネットワークづくりにも取り組んでいます。

学習会実施・講師派遣

教会や学校などへ講師を派遣しています。学び合い、共に課題に取り組むための呼びかけを行っています。

資料収集・情報提供

アイヌ民族に関連する諸資料や、関連団体の発行するニュース等の収集を行ない、常時、機関誌「ノヤ」・ホームページ、Eメール等を通しての広報を行なっています。

その他の協力

アイヌ奨学金キリスト教協力会

他教派やNCCと協力して行なっているアイヌ奨学金キリスト教協力会の事務局として、奨学生や家族との面談をはじめ、運営と支援活動を続けています。
また、この奨学金ではアイヌ民族に関係するいくつかの活動も支援しています。そのなかに、小・中学生の学習教室があります。そこでは学校での学びの復習のほかに、こどもたちの悩みや進学の相談、アイヌ語など民族文化の学びなどを行なっています。

タイトルとURLをコピーしました