アイヌ民族の権利を回復する運動の推進決議[2022年度]

議案

アイヌ民族の権利回復と差別撤廃の運動を推進するために、以下の事項に取り組む。

1.学習・研修・交流・連帯活動

(1)
アイヌ民族の権利回復と差別撤廃のため、関連する運動や学習会を支援し連帯する。
また、集会(オンライン含む)等に積極的に参加する。
 ・サケ捕獲権確認訴訟協力
 ・関連イヴェントに参加

(2)
アイヌ民族関連の諸資料を収集し、提供する。
機関誌(ノヤ)、北海教区通信、ホームページ、Eメール、Facebook等を通しての広報。

(3)
アイヌ民族の歴史と現状を学ぶオンラインを利用した学習会やフィールドワークの企画・実施。
原稿執筆等の協力。

(4)
講師派遣による学習活動支援
 ・関連会議、集会への派遣。

2.台湾基督長老教会のディヴァン・スクルマン宣教師を支援し、世界の先住民族に関する課題を共有する。

(1)
国家形成や植民地支配により、日本・台湾で行われてきた先住民族差別について、その歴史認識を深め、新たな関係作りを目指した学習・啓発活動の実施

(2)
台湾基督長老教会の教会が培ってきた信仰や、先住民族宣教のあり方を学ぶ学習会等の開催。
 ・原住民族(ユエンツーミンツー)の歴史と現状を学ぶオンライン研修の企画・実施。
 ・原住民族(ユエンツーミンツー)讃美歌集(日本語訳)ブックレット作成準備

 

提案理由

北海道と呼ばれているアイヌ・モシリ(人間の大地)は、もともとアイヌ民族が自然と共に生きてきた土地です。しかし、日本近代天皇制国家による侵略によって、アイヌ民族は土地も森も川も、自由に狩猟することも、さらに文化や言葉も奪われ、多くのいのちも奪われました。そしてその苦難の歴史は十分に省みられることなく、現在にいたってもアイヌ民族は厳しい差別にさらされています。そのアイヌ・モシリに宣教活動を行なったキリスト教会もまた、アイヌ民族の存在に無関心であるばかりか、アイヌ民族としてのアイデンティティを尊重せず、明治政府の同化政策に協力さえしてしまいました。わたしたち日本基督教団北海教区は、教会が侵略者・抑圧者の側に身をおいて歩んできた歴史を反省し、1985年にアイヌ民族の権利回復の働きを共にする目的でアイヌ民族委員会を、1996年に「アイヌ民族の権利回復と差別撤廃を教会が宣教課題として取り組むことを目的」(センター規約3条)としてアイヌ民族情報センターを開設し、ささやかながら連帯の取り組みを進めてきました。

盗掘された先祖の遺骨の返還等を求めた裁判の和解と再埋葬が4年前より続けられています。この裁判の協力や再埋葬の儀式の協力に加え、2020年8月より浦幌のアイヌ民族団体ラポロネイションが先住権としてのサケ捕獲権確認の訴訟を札幌地裁に提訴し、主事が事務局を担当し協力を続けています。この裁判は先住権を求めるはじめての裁判であり、今後の先住権に関する重要なものと言えます。これらの裁判支援を含めて今後も権利回復のための働きの手を休めることなく、アイヌ民族の皆さんに連なっていきたいと願います。

コロナ禍にあって各地へのフィールドワーク実施が困難な中ですが、オンラインを利用した学習会やフィールドワークを企画し実施することにより、アイヌ民族の歴史と現状を学ぶ時を持ちます。

また台湾基督長老教会からアイヌ民族とわたしたちとの橋渡し役としてお迎えした原住民の教師、ディヴァン・スクルマン宣教師は6期16年目の活動を行っています。センタースタッフとしてアイヌ語講座に参加するなど豊かなアイヌ民族とのつながりと活動を続けて下さっています。コロナ禍にあって従来の台湾原住民族の方達との交流は困難ですが、オンラインにより台湾原住民の歴史と現状や課題を学ぶ研修をも実施します。

以上の理由から、今年度もアイヌ民族の権利回復と差別撤廃、先住民族に関わる諸課題を教区・教会の宣教課題として、積極的に取り組むことを提案します。

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